「山本高之とアーツ前橋のBEYOND20XX 未来を考えるための教室」展の記録集発行遅滞に関する経過について(報告)
「山本高之とアーツ前橋のBEYOND20XX 未来を考えるための教室」展の記録集発行遅滞に関する経過について(報告)
令和5年3月29日
前橋市長 山 本 龍
このたび、令和元年度に開催しました「山本高之とアーツ前橋のBEYOND20XX 未来を考えるための教室」展(以下、本展という)の記録集が3月31日付で発行の運びとなりました。
当初記録集の発行を約束していたにも関わらず3年半も発行が遅れることとなり、本展の企画及び監修いただいた山本高之氏に多大なる心労を与える結果となりましたことを深謝するとともに、市民の皆様にも重ねてお詫び申し上げます。
本展記録集は、令和元年度当時、展覧会閉会後すぐに発行する予定であり、山本氏は契約に至るまでの間にアーツ前橋側と合意していた内容やスケジュールに従い作業を行い、契約満了の1か月半以上前に執筆者や台割案をアーツ前橋側に提示したところ、アーツ前橋側から山本氏側に速やかに適切な回答がなされず、アーツ前橋側は契約満了直前に当初の合意と異なる内容の対案を提示し、その直後の山本氏を交えた協議の中で、当時の館長が一方的な発行中止を告げるに至りました。
その後、当時の館長が文化スポーツ観光部長、文化国際課長及び本市の顧問弁護士に対し発行中止の説明を行いました。この際には、契約前に当時の館長と山本氏との間で交わされていた「展覧会の記録集を作成する」という旨を含むメールがあったという前提が伝えられないまま、当時の館長からは、山本氏が「本来の発行物を作成しようとしていない」という契約不履行の視点で説明がなされ中止の判断に至ってしまいました。部課長説明に先だってまとめられた経過説明資料及びその他の内部資料についても、日付が実際の経過と異なるなど、事実と異なる経過説明がなされていました。
なお、同経過説明資料には「山本氏と信頼関係を築けない理由について」という「作家との信頼関係の破綻」を根拠とした記録集の発行中止の説明が記載されていますが、本市としては、根拠に乏しく契約上主張しえないものであると判断しております。同様の記載がその他の資料にも散見されますが、同じく本市として主張しえないものと考えております。
また、顧問弁護士からは「作家側の契約不履行を問う場合は、十分な物証を揃えること」と助言があり、当時の館長や元担当学芸員に資料提出を指示しておりましたが、令和元年度の段階では未提出だった資料が、作家から損害賠償請求があった後の令和2年度になり元担当学芸員から多くの追加資料として提出され、「当時の館長が作家に対して記録集の内容も含め委任した」と解される先述のメールがあったことなどから、本市の考えを改め記録集発行を前提とした協議を山本氏と進め、今回の発行に至りました。
上記のとおり、重要な証拠の未提出と事実と異なる経過説明により行政として正しい判断が出来ない状態が長く続いたことから、ここまでの発行遅滞に至ってしまいました。経過は別紙のとおりです。本市として山本氏に重ねてお詫び申し上げますとともに、同様の事態を起こさぬよう、館運営においてコンプライアンス順守を徹底してまいります。
なお、本文書及び山本氏への謝罪文、発行が遅れた経過については、本案件の風化防止の視点も含め、アーツ前橋トップページに1年間掲載するとともに、情報はアーツ前橋ホームページに将来にわたり継続して掲載することをここにお知らせいたします。
「山本高之とアーツ前橋のBEYOND20XX 未来を考えるための教室」記録集(PDF 12.9MB)
(参考)令和元年度アーツ前橋年報