アーツ前橋

展覧会

2025年度 展覧会スケジュール

タイトル 会期 概要

石田尚志 絵と窓の間

4月19日(土)~
6月22日(日)

休館日:水曜日

石田尚志(1972- )は、線を描いては1コマずつ撮影するドローイング・アニメーションの作品で、1990年代から国内外で評価されてきました。
石田の作品は、絵画がもつ色彩や筆致の豊かさと、黎明期の映画がもたらした「イメージが動く驚き」をあわせ持ち、両者が共有する「光」を起点に、抽象絵画の形象を疾走感のある変容のうちに映し出します。映像によるインスタレーションや立体造形への展開を経て、近年は約30年ぶりにカンヴァスに絵筆を走らせ、空間と時間を“静止した平面”に描き表すことに取り組んでいます。本展では代表作と新作を中心に、初公開の作品も含め約80点の作品を紹介し、石田尚志の仕事を再考します。

画像 上:《絵と窓の間》2018年 ©Ishida Takashi 
   下:神奈川県立近代美術館葉山での新作制作風景

新収蔵作品展(仮称)
コレクション+ 女性作家特集(仮称)

 

7月19日(土)~
8月26日(火)

休館日:水曜日

当館所蔵作品による2つの展覧会を開催します。1階では、2022~24年に収蔵した作品(絵画、書、版画)をお披露目します。地下1階では、新収蔵品も一部加えながら、当館所蔵の、女性作家による作品(絵画、彫刻、写真、映像)をまとめて展示します。今日、目覚ましい活躍を見せている女性作家たちと、彼女たちを当館が積極的に収蔵してきた経緯の両方をご紹介します。さらに、本展には、現在注目すべき女性作家に参加してもらい、その世界を広げることも計画しています。

ゴースト 見えないものが見えるとき(仮称)

9月20日(土) ~
12月21日(日)

休館日:水曜日

本展は、“ゴースト”というキーワードから広がる幾つかの視点から、現代美術のさまざまな表現を紹介し、見えるもの・見えないものが生み出す謎めいた魅力を探ろうとするものです。過去の歴史に対する批判、現代という時代の見直し、未来への可能性。不確かなそれらは曖昧で茫洋とした姿で立ち現れ、我々に新しい議論と多様な気づきをもたらしてくれます。亡霊のように立ち上がるイメージは、過去と未来をつなぐメディアとなりうるのではないでしょうか。
作家の豊かなイマジネーションによって“ゴースト”に潜む表現の「美」が浮かび上がり、私たちを取り巻いている世界の見方について、多くの示唆を与えてくれることでしょう。

向井山朋子 空の時間、森の時間(仮称)

©Kiriko Mechanicus

2026年
1月24日(土)~
3月22日(日)

休館日:水曜日

オランダのアムステルダムを拠点にピアニスト/アーティストとして国際的に活躍する向井山朋子(1963- )の、美術館では初となる大規模個展。《wasted》(2009)、《夜想曲》(2011)、《HOME》(2016)などの過去の作品群を、回廊状に連なるアーツ前橋のギャラリー空間にあわせて再構成するとともに、ノマディックな彼女の人生を追体験するような新作の映像インスタレーションを発表します。「女性性」「家族」「世界」「音や音楽」「暴力性」「ジェンダー」などのテーマが向井山の極私的な視点で語られ、これらを同期するピアノ音楽・映像・照明のプログラムが、訪れる観客一人ひとりの時間感覚を変容させ、現実と架空のあわいにひろがる記憶の森へと誘うでしょう。ビジュアルアートとパフォーミングアーツが融合した壮麗なインスタレーションにご期待ください。

最新の情報につきましては、アーツ前橋のホームページにて随時ご案内いたします。

2024年度 展覧会スケジュール

タイトル 会期 概要

ここに いても いい
リトゥンアフターワーズ
山縣良和と綴るファッション表現のかすかな糸口

 

4月27日(土)~
6月16日(日)

休館日:水曜日

神話などからインスピレーションを得た物語的コレクションで知られる山縣良和(1980-)のファッションレーベル〈リトゥンアフターワーズ(writtenafterwards)〉。
そのノスタルジックな表現は、〈装う〉心の純粋性を追求しながらも、3.11からの再生を祈った《The seven gods》、ファッション業界へのアイロニーを込めた《Graduate Fashion Show》、戦後と日本人の集団性をテーマにした《After Wars》、コロナ禍の都市を離れ無人島で描いた新しい人間像《Isolated Memories》など、資本主義社会や歴史観への問題提起を大胆に織り込み、常にファッションの領域をこえた注目を集めてきました。
また、教育者としても知られる山縣はファッションの私塾〈coconogacco(ここのがっこう)〉を主宰し、参加する一人ひとりが生きる場所や社会を見つめ、「ここ」から独自の表現を立ち上げていく学びと実験の場をひらいています。
美術館で初の個展となる本展では、リトゥンアフターワーズのこれまでの歩みを紹介するとともに、山縣が考える日本社会とファッション表現の〈いま/ここ〉を新作インスタレーションで浮かび上がらせます。
「日々ニュースから飛び込んでくるウクライナとガザの悲劇、そして能登半島地震と、個人では消化しきれない歴史の大きなうねりの中で、いま自分が表現できるのはとてもパーソナルなこと」と語る山縣。“writtenafterwards”とは、〈あとがき〉や〈追記〉を意味します。ファッションを通して常に自己と社会に向き合ってきた山縣は、混迷が続く私たちの世界にどんなストーリーを書き加えるでしょうか。

観覧料:一般800円、学生・65歳以上・団体(10名以上)600円、高校生以下無料
※障がい者手帳等をお持ちの方と介護者1名は無料
※「こどもの日」の5月5日(日・祝)は無料

画像:
《It’s Alright To Be Here》2024 撮影:エレナ・トゥタッチコワ
《After Wars》2017

new born 荒井良二
いつも しらないところへ たびするきぶんだった

6月29日(土)〜
8月25日(日)

休館日:水曜日

荒井良二(1956-)は、2005年に日本人として初めてアストリッド・リンドグレーン記念文学賞を受賞するなど、世界的な評価を受けるアーティストです。彼の幅広い活動は、絵本だけでなく、絵画、音楽、舞台美術にまでおよびます。本展では、絵画や絵本原画、イラストレーション、そして新作となる立体インスタレーションや愛蔵の小物たちを通して、その創作活動を紹介します。まさに旅をする時のように、先が見えない不安や恐れをも楽しみに変えてしまうような気持ちで活動の幅を広げてきた荒井良二。その旅の軌跡と現在地を語る作品たちからなる、これまでにない展示空間が、みなさんをお迎えします。荒井は、これまでどんなところを旅して、次はどこへ出かけていくのか。ここからまた新しい荒井良二が誕生=new bornする展覧会を、一緒に体感しましょう。

観覧料:一般800円、学生・65歳以上・団体(10名以上)600円、高校生以下無料
※障がい者手帳等をお持ちの方と介護者1名は無料

画像:
上: 荒井良二『あさになったので まどをあけますよ』 原画 2011年 ©Arai Ryoji

下: 荒井良二《旅する名前のない家たちを ぼくたちは 古いバケツを持って追いかけ 湧く水を汲み出す》より 2023年 ©Arai Ryoji 撮影:池田晶紀

リキッドスケープ
東南アジアの今を見る

9月21日(土)~
12月24日(火)

休館日:水曜日

今日の東南アジアでは、急速な経済発展と都市開発が進み、変化するライフスタイルの中で多様な生活が営まれています。一方で、社会や生活の背景となる過去の歴史や風景、土地に根差した信仰、自然との関係性も社会の底流に存在しています。それらは時に融合し、時には対立し、新たな現実、生活、世界観を生み出しています。

本展のアーティスト達は、そのような多様な現実を独自の視点で捉え、作品を通して新たなビジョンを提示しています。出品作家12組のうち、7組が1980年代以後に生まれた若い世代です。また4組が女性であり、女性の身体や社会的位置づけを再考することで、現代の規範的価値観を覆そうと試みています。

作品に見られる共通性は、我々がどこから来てどこへ向かおうとするのか、という問に答えようとする姿勢です。このような作品を通して、私たちは今の東南アジアの人々の社会、文化、生活の一端を知るだけでなく、世界のいたる所に存在する現代の混沌、不安、不可知性に向き合う態度を学ぶことができるでしょう。

観覧料:一般1,000円、学生・65歳以上・団体(10名以上)800円、高校生以下無料
※障がい者手帳等をお持ちの方と介護者1名は無料
※「群馬県民の日」の10月28日(月)、「文化の日」の11月3日(日・祝)、「世界人権デー」の12月10日(火)は無料

はじまりの感覚 Beginning Awareness

1月25日(土)~
3月23日(日)

休館日:水曜日

芸術作品を鑑賞するという行為は、多くの場合「みる」ことが基本です。しかし、鑑賞することは視覚だけで感じるものではありません。わたしたちは、それぞれが異なる背丈、視力、身体で鑑賞しており、実際には目で「みる」だけでなく、耳で「きく」、手で「さわる」、足で「あるく」、時には「すわる」といった多様な行為がつながって鑑賞していることに気づくでしょう。

本展覧会では、アーツ前橋と交流のあるアーティスト―三輪途道、山極満博、山城大督―の協力を得て、“鑑賞体験”や“感覚”について意見を重ねて企画しました。各アーティストの新作・近作に、アーツ前橋の収蔵作品を加えて展示します。

初めて感じる戸惑い、小さな違和感、曖昧な記憶が呼び覚まされる瞬間――そんな体験を通じて、本展で新たな意識や気づきに出会う旅に出かけてみませんか?

観覧料:一般600円、学生・65歳以上・団体(10名以上)400円、高校生以下無料

※障害者手帳等をお持ちの方と付き添いの方1名は無料

※2月8日(土)、3月8日(土)は「多様な学びの日」のため無料

画像:山城大督《風をたべる、光をのむ》2019年 撮影:山地憲太