2019年度 アーティスト・イン・スクール【報告】
■事業概要
アーティストやクリエイターが市内の小・中・高等学校へ出張し、児童・生徒、学校の先生たちとかかわりながらワークショップや授業を行う学校連携事業です。地域や文化の未来を担う児童・生徒たちとアーティストが共同で学び、表現力やコミュニケーション力を身につけることを目的としています。実施にあたっては、アーティスト、時期、内容等について学校の先生たちと一緒にプログラムを組み立てます。実施4年目となる2019年度は、長期プログラムと一日完結プログラムを計3校で行いました。
*本ページでは、学校で行う事業の紹介をしています。
(1)前橋市立第六中学校× 住中浩史
6Tube〜私の主張を動画で発信〜
期間:2019年8月~2020年1月
対象:前橋市立第六中学校3年生
内容:今年3年目の実施となる第六中学校では、アーティストの住中浩史氏と美術教員、学芸員、コーディネーターが協働で授業開発と実践を行いました。映像作品をグループ制作するプログラムを企画。現代の中学生はYouTubeをはじめとした映像コンテンツに親しんでいます。しかし、美術科教育における映像メディア学習の実践は非常に少ないのが現状です。今回の授業では、自分の考えを映像として表現する力、試行錯誤を繰り返しながら作り上げる力、映像から作り手の意図を読み取る力を育むことを目指しました。
※第59回関東甲信越静地区造形教育研究大会群馬大会にて「表現分野」の公開授業としても開催。
住中浩史(すみなか・ひろし)
1977年生まれ、広島県広島市出身。明治大学商学科商学部卒業。地域『で』 アートを行うのではなく、その地域『の』 アートとはなにかを絶えず模索しながら、制作・行為・会話の中で実践を重ねている。近年は、新しいドラマが生まれる「場づくり」と、今起きているドラマが加速する「アイテム」づくりを行う。2016~2019年DASHIJINプロジェクト(ポータルミュージアムはっち)など。
http://www.suminaka.net/
(2)前橋市立勝山小学校 × 尾花藍子
言葉を超えたコミュニケーションの可能性を探る
対象:前橋市立勝山小学校 5年生
日時:2020年1月21日(火)
内容:言葉を使わずに相手とコミュニケーションをとるワークショップを実施。児童、先生、スタッフ全員が参加者となり、2人1組になり、身振り手振りやアイコンタクト、動作などが徐々にルールで制限されていく中で、子どもたちは探りながらコミュニケーションの方法を編み出しました。同時に、コミュニケーションが「取れない」感覚を味わったり、日頃意識しにくい周囲の環境や生活の音、人の気配などに耳をすませ、全身で感じ相手に表現するということを体験。尾花藍子氏がダンスの振付や演出をするときに大切にしている手法を、ワークショップというかたちで実際に体感してもらいました。
尾花藍子(おばな・あいこ)
東京都出身。美術・プロジェクト作品発表と並行して、近年は主に振付家・演出家として活動。ダンスカンパニー<ときかたち>主宰。舞台作品では「距離」を振り付けることで、人間の身体と心の繊細な動きや気配を表出させ、「あわい(間)の身体」を立ち上げる。2018年にダンスカンパニー<ときかたち>としてアーツ前橋の滞在制作事業に参加。前橋にて観客参加型の作品制作と発表を行った。
http://apiece7.blogspot.com/
ダンスカンパニー<ときかたち>滞在制作事業についての詳細はこちら
(3)前橋市立桃川小学校 × 中島佑太
他者の考えに耳を傾けることから始まる表現
期間:2019年1月~2020年2月(3学期)
対象:前橋市立桃川小学校 4・5・6年生
内容:2017年度、2018年度の二年に渡り、主に図工授業の教員の補助を行い、図工に苦手意識を持つ児童たちにも表現することの楽しさをアーティスト独自の視点から伝えてきました。2019年度はこれまで通りの図工授業の補助のみならず、アーツ前橋の収蔵作品である近藤嘉男の《足尾風景》(1950年)から中島佑太氏自身の現代アートの作品までを児童とともに鑑賞しながら、社会の問題や課題に対して美術がアプローチできることを児童に感じでもらえるような授業を組み立てました。作家の近藤嘉男が足尾銅山へ自ら出向き調査を行い作品を描いたように、児童たちには自分の目の前にいる相手の話をよく聴き、聴いた話から作品を制作することの意味を一緒に考えました。
※この活動は南橘団地の住民を対象としたアーツ前橋の「表現の森」の一環として行われた継続事業です。
これまでの活動報告は、「表現の森」の特設サイトで行っています。
https://www.artsmaebashi.jp/FoE/projects/project03/
Photo : KIGURE Shinya
中島佑太(なかじま・ゆうた)
1985年群馬県前橋市生まれ。2008年東京藝術大学美術学部卒業。幼少期を南橘団地で過ごし、ワークショップを手法に活動するアーティスト。2016年から南橘団地でアーツ前橋と「表現の森」の活動を始める。南橘子ども育成会などと連携し子ども向けのワークショップや団地の住民を対象としたツアーを定期的に企画している。2017年からは、南橘団地を校区に含む桃川小学校の図工授業に長期的に関わっている。
http://nakajimayuta.net/
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■事業報告
2019年(令和元年)度アーティスト・イン・スクール報告書(pdf、4MB)
■報告映像
令和元年度アーティストインスクール ダイジェスト映像
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主催:アートによる対話を考える実行委員会・アーツ前橋
助成:平成31年度 文化庁 地域の博物館を中核としたクラスター形成事業
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>> 2016(平成28)年度のアーティスト・イン・スクールパイロット事業はこちら
>> 2017(平成29)年度のアーティスト・イン・スクール事業はこちら
>> 2018(平成30)年度のアーティスト・イン・スクール事業はこちら
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お問い合わせ
アーツ前橋
TEL: 027-230-1144
FAX: 027-232-2016
E-mail: artsmaebashi@city.maebashi.gunma.jp