音の玉手箱(2018年度) 第4回12月7日
「音の玉手箱」の活動報告です。
日時:平成30年12月7日(金) 15:00〜15:40
参加者:67人(利用者 53人+職員 5人)+スタッフ等関係者 9人(うち見学2人)
▼報告書
画像クリックで拡大します。木村祐子(コーディネーター)作成。
*特別養護老人ホームえいめいの利用者さんのご家族へ配布したものです。
小田久美子(コーディネーター)による報告
前回と同様始めに特養職員に事前に廊下に集まっていただき、楽器の使い方について簡単に伝え、おやつの時間が落ち着いたのを見計らい––石坂氏によれば、始まりの空気がざわざわしていたので静かに始めたとのことだった。特養のスタッフが積極的で、楽器を持って話しかけて行く様子も見られた。全体としては子どもがいた前回ともまた雰囲気は違ったが、あちこちで音が鳴っている中で、あまり乗り気でない人も自由でいられる音量にできたようだった。これまでと同様、近づくとうるさく感じる人やテレビを見たいと人もいたので、そういう反応の場合はすぐに退いた。
また、特養に通い出して1年以上経ち、既に亡くなっている利用者もいる。石坂氏によればこれまで毎回参加している利用者もすごく年をとっていっている感じがして、例えば以前楽器が楽しくて涙を流していたおじいちゃんは今回もじっとアーティストを見てくるが、反応は薄くなっているとのことだった。ただ、口からよだれ出しながら楽器を振っている、トーキングドラムを指導されたわけでもなく抱えて自然に演奏し、そのまま楽器を抱えて寝るなど今回も強烈なインパクトを残す人もいた。石坂氏によれば、子ども向けのワークショップは楽器を持ってとにかくその場に行けばよいというフットワークの軽さがあるが、えいめいはある種の心構えが必要であり、時に利用者の方は生きているのかな・・・と思いながらやってくるとのことだった。
今回も特養スタッフに事前に簡単なレクチャーを実施したが、優しく楽器でコミュニケーションを取ろうとしたり、楽器に興味津々で楽器が入ったカゴを見にくる職員もいたりする一方で、関わり方がわからない感じの職員もいたので、次年度も前回の打ち合わせの時に話題に出たスタッフ向けのワークショップが必要かもしれない。11月の群大・文化庁のシンポジウムに来ていた県障害政策課の人も参加していただけた。県では現在様々な場所や団体へリサーチやヒアリングを行っているそうだ。
次年度以降は、アーティストの希望として、アーティストが選抜した少人数で実施し、参加者の変化の過程をより丁寧に見られるような実施体制で進めていく。合わせて、特養職員との協力関係を進めながら、アーティストに選ばれなくても参加したい人と関わってもらえるようにすることで、全体的に各人への関心に合わせて参加しつつ、濃いワークショップにしていくことを形にしていきたい。映像記録もたまってきているので、長尺で同じ人を続けて見ていくと老人の面白さが改めて見えたり、インタビューなど現場を淡々と見せるだけでも面白いかもしれないなど岡安氏から意見が出された。
合わせて、来年度はえいめい内でのワークショップのやり方を変えつつ、他の特養での実施も探っていくことになった。
(編集・投稿=小田久美子)