チラシを巡って考えたこと


チラシをめぐって考えたこと

2017年度に行った2つのワークショップ

2017年度は2月と3月に計4回のワークショップを行った。2016年の春頃から南橘団地を舞台に始まった表現の森は、2017年10月から南橘団地の子どもたちが通う前橋市立桃川小学校へのアーティスト・イン・スクールを実施し、少し別の関わり方を持つことになった。2017年度に行ったワークショップでは、桃川小学校の先生方にチラシを配布していただいたり、子どもたちに授業の中で紹介していただくなど、協力を得ることができた。そのおかげで、公民館で行われたワークショップには、南橘団地以外の方々にも多く参加してもらうことができた。

図工以外にもたくさんの表現がある

昨年度桃川小学校の図工担当だった樺澤先生が、授業の冒頭でワークショップのことをチラシとともに紹介して下さった。「図工以外にもたくさんの表現がある。」というお話がとても印象的だった。本当にその通りだと思う。図工で学習する技法や表現方法は、星の数ほどある表現の1つにすぎないと思う。それは図工に限った話ではなく、ワークショップで体験できることも、その1つだ。そういう選択肢がある、ということを子どもたちに学校を通して知ってもらうことができた。そしてそのチラシには、けっこう色々な思いを込めた。図工以外にもたくさんの表現がある、なんて表現の森にぴったりな言葉だろう。

チラシをつくるのは大変である

僕はデザイナーではないので、チラシのデザインはあくまで独学だし、得意なわけではない。今まではプロのデザイナーがつくったものを懸命に真似て、色々なつくり方を覚えてきた。ひと昔前に比べると、印刷会社へ入稿する時に感じる緊張感は減ってきたけれど、入稿直前にいくら誤字脱字チェックをしても、たいてい1つ2つとミスがあったりする。その度に「まあプロじゃないし…。」とごまかしてきた。チラシをつくるのは大変なのである。

南橘団地でワークショップをするときは、アーツ前橋のコピー機をつかってチラシをプリントし、配布している。モノクロのコピー用紙の印刷であっても、アーツ前橋の館内チェックがあり、内容や誤字脱字などを細かく指摘される行程となっている。注意深くつくっていても、赤ペンで何箇所も修正が入り、やっとこさ完成する。(もちろんプロのデザイナーに依頼することもできるけど、僕がもらうギャラよりも高くなるだろう。)

人間らしさとは何か、と時々考えることがある。1つはミスをすることだと思うがどうだろう。どんなにがんばってもミスがなくならないチラシのように、わたしたち人間はミスを重ねて生きている。そんなことねえよ!とツッコミが聞こえてきそうだけど。ミスを怖がってばかりいると、特にワークショップのような自由度の高い場所では、何をしてどう過ごせばいいか分からなくなってしまう。むしろミスこそが人間らしい表現を生み出すと思う。そのようなメッセージをチラシを通じて子どもたちやその周りにいる大人に伝えたかったというわけだ。

想像と旅

ワークショップの詳しい内容は、また書く(書かなければいけない)ことになっているので、いつになるやらという感じですが、2つのワークショップは前年に続き、旅をテーマにしたものにした。僕個人は相変わらずあまり旅という旅はしない。どちらかというとあまりアクティブに出かけたいタイプでもないかもしれない。だからこそ南橘団地や桃川小学校の子どもたちと一緒に、想像することで旅をしたことにしてしまいたいと思っている。誰も行ったことのないような遠い場所に行くことだけが、旅ではないのだ。図工だけが表現ではないように。

(執筆・編集・投稿=中島佑太)

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