アーティスト・イン・スクール (4) 2017.10.23~30


まえがき

桃川小学校でのAISは早くも4週が過ぎ、5週目の月曜日だけ顔を出してそそくさと群馬を後にして今は山口県宇部市にいる。こちらでも縁があり、大きな団地の近くにある小学校でワークショップを行ってきたところだ。そのクラスには日本語が喋れない外国籍の子どもが在籍していて、英語も交えながらのワークショップになった。多様な時代は遠い世界の話ではない。

今回通った桃川小学校では、僕の立場はアーティストということにはなっているが、ワークショップを行わず、業界でT2と呼ばれるような補佐役として関わった不思議な時間だった。今日では、ワークショップをお届けするアーティスト派遣はまだまだ多くはないにせよ、珍しくはなくなり、僕も短いキャリアの中でいくつかの小中学校に出向きワークショップを行ってきた。しかし、小学校外で出会った子どもたちを追いかけるように学校に出向き、学校での姿と再び出会う体験は僕にとって新しかった。まだ始まったばかりで、この関わり方がどんな出来事に結びついていくかは分からないけれど、僕の中での小学校のイメージや、アートもしくは図工が持つ意味が少し変わったように思う。

最後のクラスには賞を取りたいという少年がいた。結局僕が見ていた授業時間の中では、一番最初に描けと指示が出ていたはずの虫の姿が描かれることなかった。彼の画用紙には、コスモスの花と、花を見つめる少年がいた。彼は「この人(僕)は適当なことばかり言う。」と言った。彼だけではなく、集団生活の中で営まれる学校での授業の中では、自分をうまく表現しきれない子どもも少なくないように見えた。時には周りに合わせていかないと生きにくい社会の中で、かの少年が僕に言ったように適当に生きている大人も実はいる。そうやって生きていく選択肢も世の中にはあるんだと知ってくれる機会になっていれば、僕が今までアーティストとして生き続けてきた意味があるのかもしれない。

20171023AIS 12日目

日時   20171023[]

アーティスト・イン・スクールの12日目!今日は台風21号接近のため、休校になった。僕が小学生の頃は、休校になったことがない。

20171025AIS 13日目

日時   20171025[] 10:30~12:05
場所   桃川小学校図工室
参加者  中島、今井+小田(アーツ前橋)

アーティスト・イン・スクールの13日目!今日は予定を変更して木曜日のクラスにも来ることにした。まだ一度も来ていない4年生のクラスがあったのと、台風で潰れてしまった5年生の授業が急遽木曜日に変更になったからだ。このクラスに行くと、南橘団地でのワークショップによく来てくれていた子たちに会うことができた。結局こうして彼らの顔を見るたびに、3年生・5年生以外のクラスにも行きたくなり、結局残すところ6年生の1クラスを残すだけになった。30日の月曜日にそのクラスの授業があり、山口に発つ前日だけど行けそうだ。

そういえばもらうのを忘れてしまったけど、学校の通信でAIS(アーティスト・イン・スクール)のことが紹介されているらしく、南橘団地の子たちの中で、授業になかなか(中島氏が)来なかったクラスの子たちは、通信を見た保護者を通じてナカジ(南橘の子たちからはそう呼ばれている)が桃川小に来ていることを知ったらしい。

20171026| AIS 14日目

日時   20171026[] 10:45~12:20

場所   桃川小学校図工室
参加者  中島

アーティスト・イン・スクール14日目!今日は3年生の子たちと休み時間にドッヂボールをしようと約束をした日だ。はてさて約束を覚えていてくれるかな?と思いきや、早速20分休みはマラソン大会に向けて校庭を走らなければいけないというではないか。休み時間が5分しかない上に20分休みをマラソンの練習に使って、よく授業中に寝てしまわないものだと子どもたちの体力に感心する。というわけで昼休みに戻って来てドッヂボールをすることになった!

お昼を食べて(お昼は校外で食べる)昼休みに戻ってくると、どこから校庭へ出て行けばいいものか、しかも校庭のどこで待ち合わせなのか、校庭で遊ぶことへの遠慮もあってか少し迷った。しかしたまたますぐに約束していたクラスに会うことができた。6年生の女の子にも会って、一緒にドッヂボールをやりたいと言われたが、3年生に断られていた。あとで見ると違う学年のドッヂボールに混ざっていた。子どもの社会も複雑だ。

20171026 |AIS 15日目

日時   20171030[] 8:50~11:00
場所   桃川小学校図工室
参加者  中島

アーティスト・イン・スクール15日目!今回のAISの最後の日。急きょ(本当に急きょばかりだけど)残す最後のクラスにも顔を出そうと思い立ち、出向いてみた。初めましてでありながら、(一応最後の日なので)さようなら。しかし最終日ともなれば先生もどこのクラスに行っているかはもう分からなくなっており、自己紹介のないままに始まってしまった。しかもこのクラスの授業は遅れていて、余談もなしに一気に下絵から色ぬりに進む。そのスムーズさはさすが最高学年という感じ。

最後が初めてのクラスになってしまうのも変なので、20分休みに職員室に行って校長先生にご挨拶をしてから、3時間目も少し行ってみることにした。3年生のクラスで、金曜日にも会ったクラスだ。このクラスが一番時間を一緒に過ごしたかもしれない。

このブログが南橘団地×中島佑太と書かれている性質上、どうしても南橘団地の子どもたちについて記すことが多かった。けれども、桃川小学校には他の町に住む子どもたちも当然通っている。他の町から南橘団地を行き交う子どもたちもいれば、そうでない子たちもいる。もっといろんな子どもたちとの書きたいエピソードはたくさんあるけれども、今回は書かなかった。今後、僕が桃川小学校に再び来ることができるかは分からないが、同じ地域に住んでいるので、またどこかですれ違うこともあるだろう。

(執筆・編集・投稿=中島佑太)

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