４月の活動 ／６（水）、７（木）、２３（土）
４月６日（水）「ひきこもり」
３回目の訪問だが、受け入れてもらえたような気がする。僕もリラックスしてお茶を飲み、ぼんやりと過ごす。今日は少ない人数で落ち着いた雰囲気のアリスの広場。T君に「どこに住んでいるんですか？」と聞かれる。「〇〇市だよ」と答えると、「〇〇年にその近くでいじめ事件がありましたよね？」「日本で最初にいじめという名称でニュースに取り上げられた事件です」と語りだす。T君はいじめられたトラウマから、いじめ事件についてインターネットで調べてしまうという。そしてその子がどのような気持ちだったのか、どんな内容のいじめだったのかが気になって隅々まで調べてしまうというのだ。それが気になりすぎるので、パソコンから離れるようにしているという。テレビなども嫌なニュースが多いので見れないそうだ。だから家では何もすることがなくて、引きこもっていた何年もの間本当に何もしていなかったという。趣味といえば最近アリスに来て携帯のゲームを覚えたくらい。何もしていなかった期間は、ただ過去が蘇って、つらさや憎しみが増大して頭や胸が痛くなってしまうそうだ。静かに、控えめに喋るTくんだが、その心境を想像すると自分も胸が痛くなる。T君は今は家とアリスにしか出かけることができず、送迎は親御さんがしている。そんなT君だが、自分のことをよく話してくれる。言葉遣いが丁寧で、声のトーンから優しさが伝わって来る。
４月７日（木）「ずっと参加している」
明日からK君とMちゃんが復学する。また学校に通うのだ。今日は復学前の最後の集まりなので、みんなでお菓子を食べ送迎ムード。自分はまだ短い期間の付き合いだが、それでも２人が新しいスタートに巣立っていくのは嬉しい。施設長佐藤さんをはじめ、ボランティアさんの感慨はひとしおだろう、それでも控えめないつも通りの茶飲み話、変わらないアリスの団欒。帰り際に佐藤さんが「いつでも戻っておいでね、頑張らないでね」と声をかける。作品アイデアを幾つか考えてきて、みんなに相談しようとしたが今日はやめておく。
今日は初めてO君に会った。ほとんど喋らないが無表情でみんなの話の席に参加している。その表情からは楽しいのか、つまらないのかの感情が全く見えない。ただ、じっと座っている。そんなO君には構わずみんなはワイワイと話をしてる。いろんな話題の中で「沼と湖の違いって何だろう？わかんないね」という話しになった。その時Oくんがポツリ『川につながっているか、いないか、、』と口を開く。みんなの視線が１点に集中すると、照れくさそうに『確か、、』と少しだけ笑う。今日話したのはその一言だけだったけど、ずっと話に参加しているんだなと感じた。
４月２３日（土）「山につながっている」
月に一度のおやつ会。おやつ会とはいってもここでは食事会をそう呼んでいる。今日はみんなで鉄板焼き、エレベーターを降りるとジュージューとお肉の匂い。午前中に榛名山に行っていたので少し遅れて顔を出すと、「待ってたよ～」とみんなが迎えてくれる。食事をしてこなくて良かった。榛名神社周辺をしばらく歩いていたので腹ペコだ。さっきまで人のいない山の中を一人で歩いていて、今はみんなに囲まれている。窓から見える榛名山を見ながら、さっきはあそこに居たんだなと思う。そういえばここはぐるりと開放的な窓に囲まれて前橋の山々が見渡せる。心地よい風が入り込んでくる。たぶん意識はしてないけど前橋の山々に見守られていることも、この場所の大切な要素な気がしてきた。全然関係なく山を歩いてきたが、アリスの景色が山まで広がっていることを感じれて良かった。今度みんなでピクニックでもしたいねと話す。今日はたくさん食べ過ぎたので、卓球で腹ごなしをする。
（滝沢達史）