第5回まちほけチャンネル 開催報告!


配信スタジオの様子

不登校やひきこもりを支援するフリースペース「アリスの広場」代表・佐藤真人、LGBTの支援団体「ハレルワ」代表・間々田久渚、そして、アーティスト・滝沢達史の3名がホストになり、その時々の気になるテーマでお送りしているオンラインプログラム「まちほけチャンネル」。
5回目となる今回は、アーツ前橋での展覧会「表現の生態系」での出会いをきっかけに、まちのほけんしつの改修プロジェクトにもご協力いただいたアーティストで時々ドラァグクイーンのブブ・ド・ラ・マドレーヌさんと、性とその周辺のなんでも屋で、大学講師のあかたちかこさんをお呼びし、生きづらさを抱えた時の居場所づくりをテーマに、お話を伺いました。

今回はブブ・ドラ・マドレーヌさん、あかたちかこさん、とまちのほけんしつのスタジオをオンラインで繋ぎ配信。アリスの広場の佐藤真人さんは試験勉強のためにお休み

どのようにまちほけを開いていくか

まちのほけんしつ(以下、まちほけ)は、今年の7月に2年間の準備期間を経てオープン。1階はカフェもできるオープンスペースとして、そして2階は相談ができたり、一人でゆったりできたりするスペースになっています。主に2階を活動の拠点とするアリスの広場は、コロナ禍も開けられるときに開け、居場所を必要とする方たちにフリースペースとして場所を提供してきました。1階が本格的に稼働するにあたり、やってみたい事はたくさんあるが、どのようにまちに開いていくか、来た人との関係性をどのように作っていくかなど、手探りの毎日です。

 

誰でも来られる場所、大阪のコミュニティセンターdista

配信冒頭、ブブ・ド・ラ・マドレーヌさん(以下、ブブさん)の自己紹介の中で、以前働いていた大阪にあるHIVに関する情報発信を行っているコミュニティセンター「dista」(https://dista.osaka/)のお話しをしてくれました。distaはHIV/エイズや性感染症の情報提供や、気持ちがしんどい時にふらっと誰でも立ち寄れる場所として開いており、ブブさんはそこでコンシェルジュ(相談員)をされていました。話したいときは話せるし、話しかけなくてもいいただそこにいる人として、「来た人のニーズを察知して、どうしたら来た人が一番安心できる場所としてゆっくりできるか。人にはいろんなタイミングがあるということを感じられるような自分であるためにはどうしたらいいのかを試行錯誤した」日々だったそうです。また、distaでは展覧会もしているそうで、来ることに敷居を感じている人たちにとって、そうした活動が来るための良い理由になっているそうです。居場所として何か来るきっかけを作ることの可能性について、滝沢さんからは「僕の役割が見えてすっきりした」という声もありました。

 

あり続けるためには「しんどくならない」

あかたさんからは、まちほけがあり続けることを第一に考えて、「まちほけがあるということが一番重要なんですよ。ある、なんとなくある、あり続けるっていうことがすごく重要だと思っていて。なので、疲れない運営をめっちゃ考えてほしい。ちょっとスキがある方が面白い。表現の生態系の何が面白かったって、みんなで作業ができたこと。なんかようわからへんけど行ったらおやつがあるとか、そこに行ったら何かすることがあるような気がするぐらいの感じ。そして暇そうな人がいることがむっちゃ大事だと思っている。皆さんが楽しめることがあるといいんちゃうかと思っている」と心強いアドバイスをいただきました。

また、まちほけが提供できる情報をどう拡充していったら良いか、という間々田さんからの悩みには、「なるべく情報に触れられる環境を手に入れること、調べるのが上手になっておくこと、そして何が来てもまぁまぁ何とかなるっていう精神を忘れないこと。情報はどこにでもあるけど、安心はあんまりない。」とのこと。まちのほけんしつは保健室らしく、手術をする場所ではなく、いつでもいくことができる、そして必要な時に必要な場所へとつなげる、誰かの安心になる場所になれると良いのではないかと助言をいただきました。

大阪の「ブレーカープロジェクト」の「作業場」を紹介するブブさん。その場に来た人と一緒に作業をする活動をしている。

 

活動への尽きないエネルギー

その場にきた人との作業やおしゃべりをしながら場を作っているブブさんと、HIV/エイズを入り口に様々な対人援助の現場とそこでの学びを学生と共有しているあかたさん、お二人に共通しているのは、活動への尽きないエネルギーと情熱です。それを維持していくためには、相談を受けている自分が倒れないことだとあかたさんはいいます。それは他人の問題に必要以上に感情移入しすぎないことや(言い換えれば、その問題はその人自身のものであり、その人が自分の人生を生きていくために必要なもので、相談を受けている側が奪えるものではない)、相談を受けることでわき起こる自分の感情やしんどさを冷静に分析し、社会的な問題には、本を書いたり行政に訴えに行ったりするなどアクションを起こすモチベーションにし、あるいは自分が楽になる活動に使っていくことだといいます。

あかたさん:「ひとの話を聞くことが多い人生になったけど、それをしていて思うのは、得やな~ってことなんよね。人の話を聞くのってしんどいけど、自分じゃ経験しきらんことを、人が経験したことをちょっと分けてもらえる。経験値を分けてもらえる仕事やと思っていて、人より経験値を稼ぎやすい。誰かの苦悩はその仕組みまでさかのぼって分析することができたら、必ず自分の人生に役立つように変わっていくから、めちゃおいしいなって。しんどささえなんとかできれば超おいしいので、そこをみんなが楽しめるようになるといいな。」

まちのほけんしつを運営していくための公開相談会のような配信になった今回。視聴者からも多くのコメントをいただき、勇気づけられ、励ましをいただきました。今後ともまちのほけんしつとまちほけチャンネルをよろしくお願いいたします!
(写真:堀口実香 文:天羽絵莉子)

第5回まちほけチャンネル:https://www.youtube.com/watch?v=FylG3S7Pfs4

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