ゆったりアーツ9/ やなぎみわ展 神話機械


ゆったりアーツ9/ やなぎみわ展 神話機械

日時:2019年5月22日(水)13:00〜16:00
参加者数:合計9人(若者6人、アリスの広場ボランティア2人、保護者1人)
スタッフ:滝沢達史、辻瑞生+今井朋(アーツ前橋)
場所:アーツ前橋

不登校、ひきこもりの悩みを抱える若者と休館日の美術館で作品を鑑賞する「ゆったりアーツ」。この企画は、2017年からアーツ前橋の展示替えに合わせ、これまで9回を開催してきた。公共空間が苦手な若者にも、休館日の美術館ならゆっくりと鑑賞できるのではないか、そう考えて始められたが、閉じられた美術館の閉塞的な環境は、彼らにとって「別の居場所」として相性が良いようである。今回の展示は、これまで女性的な視点で独特の世界観を表現してきた、やなぎみわ。そのテーマは現代の女性をモチーフとしながら、神話や死の世界に対する普遍的な畏怖を感じさせる。アリスの若者にも共感する点が多いのではと想像したが、この日の参加者が女性だけとなったのは奇遇なことである。鑑賞する後ろ姿は、やなぎ演劇の入れ子構造のようで、不思議な気持ちで眺めた。

参加するのが初めてというアリス最年少の小学1年生は、展示室が怖いと言って途中までしか入れなかったが、(実際、今回の展示は子どもには怖い。)それでも、行きつ、戻りつ、冥界へとつながるような美術館の入口を自分なりに楽しんでいた。出たり入ったりを自由にできるのも休館日ならではの関わりである。ブラインドの降ろされた人気のないラウンジで、鑑賞アンケートの裏に絵を描く姿を見て、またひとつ美術館の裏側の楽しみ方が見られた。「こっそり飾ってしまおうか」と声をかけたら、嬉しそうにニヤリと少女が笑う。その姿を見て、いつでも自由に表現できる場が美術館に併設されたら良いのかもしれないと思った。今後もアリス美術部では裏の美術館を楽しみながら、表に活かせるアイデアが生まれるような試みを続けたい。

(執筆・投稿/滝沢達史)

  

○ゆったりアーツの参加方法

「ゆったりアーツ」は、不登校やひきこもりに関する悩みを抱える方のためのプログラムです。参加に興味のある方は「アリスの広場」までご連絡いただき、一度アリスの広場に足を運んでみてください。当事者や、またサポートをしたいと考えているボランティアの方と共に、不登校・ひきこもり支援のアイデアを広げていきたいと考えています。

NPO法人ぐんま若者応援ネット アリスの広場 https://www.npo-alice.org

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