アーツ前橋

展覧会

new born 荒井良二  いつも しらないところへ たびするきぶんだった

2024.6.29 - 2024.8.25


ポスター画タイトル《果てしない物語を聞いているような夜のとばり》2024年 ©Arai Ryoji


荒井良二(1956-)は、2005年に日本人として初めてアストリッド・リンドグレーン記念文学賞を受賞するなど、世界的な評価を受けるアーティストです。彼の幅広い活動は、絵本だけでなく絵画、音楽、舞台美術にまで及んでいます。全国各地を巡回する本展では、荒井自身がセレクトした絵画、絵本原画、イラストの他、愛蔵の小物たちや廃材を用いたオブジェ群を縦横無尽に配し、美術館内にその創造の旅の軌跡を大胆に描き出していきます。

2011年に故郷の東北を襲った東日本大震災では、被災地でワークショップを精力的に行ったり、市民参加型のフェスティバル「みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ」を立ち上げるなど(2014―2018)、近年ではより社会とつながる創作活動に取り組んでいる荒井良二。
彼はこれまでどんなところを旅し、次はどこへ私たちを連れて行ってくれるのでしょうか。たびたび訪れ、ゆかりある前橋では、新たな作品も加えられます。ここからまた新しい荒井良二が誕生=new bornする展覧会を一緒に体感しましょう。

 

【アーティストプロフィール】

写真:池田晶紀

荒井 良二(あらい・りょうじ)
1956年山形県生まれ。『たいようオルガン』でJBBY賞を、『あさになったのでまどをあけますよ』で産経児童出版文化賞・大賞を、『きょうはそらにまるいつき』で日本絵本賞大賞を受賞するほか、2005年にはアジアで初めてアストリッド・リンドグレーン記念文学賞を受賞するなど国内外で高い評価を得る。2012年NHK連続テレビ小説「純と愛」のオープニングイラストを担当。ライブペインティングやワークショップのほか、作詞・作曲やギターも演奏するなど音楽活動も行っている。2018年まで「みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ」の芸術監督を務めるなど、さらにその活動の幅を広げている。

 

【開催概要】
会期|2024年6月29日[土]→8月25日[日]
会場|アーツ前橋
開館時間|午前10時〜午後6時(入場は午後5時30分まで)
休館日|水曜日
入場料|一般800円、学生・65歳以上・団体(10名以上)600円、高校生以下無料
       ※1Fギャラリーは観覧無料
       ※障がい者手帳等をお持ちの方と介護者1名は無料
主催|アーツ前橋、朝日新聞社
後援|上毛新聞、群馬テレビ、FM GUNMA、まえばしCITYエフエム、前橋商工会議所
協力|偕成社、小学館、積水ハウス、フリッツアートセンター、宮本武典

 

【本展のみどころ】
1. 絵本や書籍原画の細部までじっくりと
おもわず口ずさみたくなるようなリズミカルな文体やオノマトペ、あたたかく鮮やかな色彩、描けそうで描けない独特の線やかたち、そして心にふっと灯りがともるような読後感。荒井さんの絵本や書籍は、一言では言い尽くせない魅力であふれています。本展では、100冊以上の絵本・書籍のなかから、代表的な作品の原画をご紹介します。青と赤の2つの気球、窓から顔を出す人、小さな家々など、文字がない原画ならではの発見をお楽しみください。

『あさになったのでまどをあけますよ』原画(表紙)2011年 偕成社

『水の絵本』原画(表紙)2019年 講談社

 

2. 新作絵画や立体作品による会場構成
「越える」を意味する「meta(メタ)」のタイトルを用いて、2010年に初作品集『meta めた』(フォイル)を刊行し、絵本作家と語られる自らを超越する、あらたな活動をはじめた荒井さん。各地での作品展示に加え、郷里・山形を舞台とした「荒井良二の山形じゃあにぃ」、「みちのおくの芸術祭山形ビエンナーレ」の芸術監督、震災後の東北をめぐる活動など、場所やジャンルを超えた創作の旅を続けています。新作絵画に加えて、大分県の公園に設置されたオブジェ《マッテルモン》《たいようをすいこむモン》のマケットや、「山形ビエンナーレ2018」で発表された《山のヨーナ》の立体物を再構成し、展示室全体を使って荒井さんの創作の現在地を伝えます。


《花の草》2008年

《誰も知らない山の神さまちゃん》2018年


《山のヨーナ》2018年 山形ビエンナーレ



3. 旅するインスタレーション

展示のさいごでは、新作の立体インスタレーション《new born 旅する名前のない家たちをぼくたちは古いバケツを持って追いかけ湧く水を汲み出す》を発表します。こども一人一人がひとつの家となり、展示室に点在する小さな家々は、それぞれに物語を内包しながら旅をしていきます。家の素材や、電球やスケッチなど細部の設え、また、形態から読み取れるこどもたちの物語を想像しながら、会場をゆっくり巡ってみてください。

 

 

【関連イベント】

こどもワークショップ 「うつくしいってなに?」(プレイベント)

本展で原画を特別展示する詩人の最果タヒさんと荒井良二さんの共著『うつくしいってなに?』(小学館/7月25日刊行予定)にちなんでひらく、こどものための絵と言葉の一日。展覧会のオープン前、まだまっ白な美術館のギャラリー1が、荒井良二さんとこどもたちのキャンバスになります。それぞれにとっての「うつくしい」もの・こと・ひとを展示してみよう。
日時|6月22日[土] 午後2時~5時   ※プログラムの進行によって終了時間が前後する場合があります。
講師|荒井良二
対象|小学4~6年生 ※活動の記録撮影と当該動画・画像の公開(会場、公式SNS、記録集など)についてご了承いただける方。
定員|20名(事前申込)
会場|アーツ前橋 ギャラリー1
参加費|無料

申込方法|→こちらのフォームよりお申込みください

 

オープニングトーク&ライブ  荒井良二 × 寺尾紗穂「〈わたしの好きなわらべうた〉より」

荒井良二×寺尾紗穂 ライブ《山姥のいるところにて》山形ビエンナーレ 2016

古来より日本各地で歌い継がれてきた“わらべうた”をテーマに、荒井さんのライブペインティングと、シンガーソングライター寺尾紗穂さんの演奏が夜の美術館で響きあう。
日時|6月29日[土]午後6時30分~7時30分
会場|アーツ前橋ギャラリー6
出演|荒井良二、寺尾紗穂(シンガーソングライター、エッセイスト)

企画協力|フリッツアートセンター

定員|80名(事前申込)
参加費|1,000円(当日)
申込方法|→ 定員に達したため受付を終了しました。
その他|会場に椅子のご用意はありません。敷物などが必要な場合はご持参ください

寺尾 紗穂(てらお・さほ)……1981年生まれ。音楽家・文筆家。2007年ピアノ弾き語りアルバム「御身」でデビュー。2010年より「BIG ISSUE」を応援するために続けてきた音楽フェス「りんりんふぇす」を2024年より山谷で開催。2022年発表の「余白のメロディ」は『ミュージック・マガジン』のベストアルバム10枚(ロック部門)に選出された。オリジナルの創作に加え、わらべうたや労働歌など、忘れられた古謡の発掘、研究、演奏をライフワークとする。作家の小林エリカと組み、近代史に埋もれた女性達の物語を、当時の音楽と即興を散りばめながら作り上げる音楽朗読劇の企画上演も手掛ける。スリーピースバンド「冬にわかれて」でも活動する。近刊に『日本人が移民だったころ』(河出書房新社)『天使日記』(スタンド・ブックス)がある。

 

市民参加プログラム「荒井良二と物語を汲み出す人」

荒井さんと一緒に「物語をつくる」プログラムです。インスタレーション《new born 旅する名前のない家たちを ぼくたちは古いバケツを持って追いかけ 湧く水を汲み出す》をモチーフに、参加者全員で物語文を編んでいきます。
日時|7月27日[土]午後4時30分~7時  ※プログラムの進行によって終了時間が前後する場合があります。
会場|アーツ前橋 ギャラリー6
講師|荒井良二、宮本武典(アーツ前橋チーフキュレーター、東京藝術大学准教授)
対象|中学生以上  ※活動の記録撮影と当該動画・画像の公開(会場、公式SNS、記録集など)についてご了承いただける方。
定員|25名(作文による選考あり) ※参加無料(要展覧会チケット)
申込方法|「バス」をテーマにした作文(400字以内/形式自由)をそえて下記メールフォームよりご応募ください。
       →こちらのフォームよりお申込みください
申込締切
|7月7日[日] ※選考結果は7月10日[水]に当選された方にのみメールでお伝えします。あらかじめご了承ください。


前橋こども図書館「荒井良二作品おはなし会」

《名前の知らないわたしと誰かが聞いている》2023年

日時|会期中 不定期開催 ※詳細は前橋こども図書館ホームページをご覧ください。
会場|前橋こども図書館(アーツ前橋向かい・前橋プラザ元気21 2F)おはなしひろば TEL 027-230-8833
参加費|無料  

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