令和3年度 滞在制作事業「群馬県にゆかりのあるアーティスト」結果発表!!!
新型コロナウイルス感染症の影響により昨年度は募集を見送ることにしましたが、今年度から「群馬にゆかりのあるアーティスト」の募集を再開しました。
厳正なる審査の結果、本年度の招聘作家は松田啓佑氏に決定しました。各審査員のコメントについては、スクロールしてページ下方をご覧ください。
■審査概要
応募期間 : 2021年8月20日(金)~9月25日(土)
応募件数 : 15
審査員 :
片山真理(アーティスト)
帆足亜紀(横浜美術館国際グループ兼学芸グループ グループ長/横浜トリエンナーレ組織委員会事務局副委員長補佐)
山重徹夫(中之条ビエンナーレ総合ディレクター)
田中力(アーツ前橋館長/前橋市役所文化国際課課長)
■選考結果
松田 啓佑 MATSUDA Keisuke
招聘期間: 2022年1月中旬~2月中旬 ※予定
■プロフィール
1984年群馬県生まれ。2009年京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻油画修了。油彩ドローイングの手法を用いて、自分自身を媒介に「世界」そのものを捉える表現法を模索している。その延長で、2020年からは陶器による立体表現にも取り組む。主な展覧会に2021年「満杯の状態 」(2kw gallery、滋賀)、「捨てていた意識は目に当たる」(See saw gallery、名古屋)、2017年「VOCA現代美術の展望-新しい平面の作家たち」(上野の森美術館、東京)、「目と鼻 」(eNarts、京都)、「Dribble2」(2kw gallery、滋賀)、2016年「UNREVIVABLE」(eNarts、京都)など。
■これまでの作品
《Untitled》2021 、カンヴァスに油彩、 91.0×117.0cm
《Untitled 》2020 、カンヴァスに油彩、 40.0×80.0cm
《Untitled》2021、セラミック、40.0×80.0cm
■審査員からの講評
片山真理(アーティスト)
私は、アーティストにとって一番大切なものは制作する環境だと思っています。
私自身、場所も選択できる環境のひとつであるということを竪町スタジオでのレジデンスで経験しました。
松田さんのポートフォリオを見たとき、彼が竪町スタジオにいたり、前橋の街をふらふらしたりしているのを想像することができました。
それはとても楽しそうでした。決して気張らず、リラックスして過ごせますように。
帆足亜紀(横浜美術館国際グループ兼学芸グループ グループ長/横浜トリエンナーレ組織委員会事務局副委員長補佐)
新しい環境に慣れる、生活を整える、まちを散策する、新しい人に出会う、考える、調べる、試行錯誤する、制作する。作家にとって、滞在制作とはいろいろな時間を積み重ねていく経験である。候補者を数名に絞り込んだ後、各人がこの時間をどうやって過ごすのかを想像しながら、審査時間いっぱいまで議論を尽くした。松田啓佑さんには、前橋での時間を十分に使いきってもらえるのではないかというのがひとつのポイントになったと思う。松田さんの作品の魅力は絵画作品と陶芸作品が等価に並べられ、余白のある表現が豊かに外へとのびやかに染み出していく点にある。わずか30日の滞在ではあるが、前橋で過ごした時間が作品に重ねられ、これまでよりも遠くへと線が伸びていくことに期待する。
山重徹夫(中之条ビエンナーレ総合ディレクター)
第一印象はドローイングがとてもリズミカルで、見ていて心地よかった。
この感覚で前橋に滞在して、どの様な作品が出来上がるのか、見てみたいと思った。また、立体作品の表現は、実験的な要素も多く含むが、その完成されていないところに、また魅力が感じられ、今後の表現展開が気になる。
滞在は前橋中心市街地だけではなく、縄文遺跡など東国文化が栄えた場所でのリサーチなど是非行ってほしい。この滞在を通して、作家自らが生まれ育った風土や文化を再確認して、作品の新たな展開を願っております。
田中力(アーツ前橋館長/前橋市役所文化国際課課長)
今年度の群馬ゆかりのアーティスト滞在制作に国内外で活躍している15名のアーティストから応募していただき心から感謝申し上げます。書類審査のみでしたが、提出された応募動機や滞在中のプランなどを拝見すると、どの方からも前橋市で滞在制作を行うことに対する意識の高さを強く感じられ、選考委員の間で熱い議論が交わされました。前橋市では市民や企業・団体と連携してまちなかの魅力を高める取組を行っています。そのような中で今回選考させていただいた松田啓佑さんがまちなかに滞在して制作活動を行うことは、前橋市民にとっては新鮮な刺激となり、市民によるまちづくりの機運の盛り上がりと可能性の広がりが期待できます。